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MWC Barcelona 2024 リポート

  1. はじめに
  2. MWC Barcelona 2024 開催概要
    • MWCとは
    • 数字で見るMWC
  3. アルチザネットワークス 出展概要
    • ブース出展
    • O-RAN Virtual Exhibition
  4. MWC Barcelona 2024 テーマとトレンド
    • テーマ
    • トレンド
      • AI
      • NTN
      • Open RAN
  5. 所感

はじめに

昨年同様、株式会社アルチザネットワークス(以下アルチザ)は、2024年2月26日から29日にスペイン・バルセロナにて開催された世界最大規模の移動体通信業界の展示会「MWC Barcelona 2024」にブースを出展しました。この展示会には、毎年2,000を超える企業が出展し、各企業のトップ並びにさまざまな分野や技術に精通している業界のリーダーたちがスピーチやカンファレンスを行う場としても有名なイベントです。

アルチザブースでは、昨年に引き続きDuoSIM-5G及び etherExtractor Neo(以下 eE Neo)に加え、eE Neoの改良版となる FH MONITOR や、Intel® Agilex™ 7 F シリーズを搭載した Griffin(High-end FPGA Board)などのプロモーション活動を行いました。

そして、開催期間中には、取引先企業様との打合せや、新規事業及び新規商材の開発に繋げるためのマーケティング活動なども行いました。

MWC Barcelona 2024 開催概要

MWCとは

GSMA Mobile World Congress(MWC)は、世界最大級の移動体通信業界の展示会であり、世界中の移動体通信事業者、端末メーカー、テクノロジープロバイダー、テスト機器プロバイダーなどの企業からの出展や、それら有名企業の最高経営責任者が出席するカンファレンスが行われるイベントです。

1987年にPan Europe Digital Cellular Radio(GSMの旧名)の営業会議として始まり、1990年からは「GSM World Congress」と称し、2003年に「3GSM World Congress」と改名されました。現在は、Mobile World Congress(MWC)と改名され、毎年2月にスペイン・バルセロナのフィラ・デ・バルセロナで開催されており、世界200か国以上から来場者が集まります。

数字で見るMWC

本年のMWCにおける参加規模は、来場者数で101,000名以上(GSMAによる速報値(前年度 約88,500名))、出展社数で2,700社以上(GSMAによる速報値(前年度約 2,400社))と前年度よりさらに勢いを増し、世界中の多くの企業や団体が、本イベントへ関心を寄せているかを伺い知ることができます。

2020年以降、新型コロナウィルスの流行により、本イベントを含めた多くの対面イベントが中止、若しくはバーチャル開催となり、活力を失っていました。しかし、新型コロナウィルスの規制が撤廃された今年のMWCでは、Beyond 5Gや6Gといった最新のテクノロジーが結集し、技術レベル、来場者数、出展社数において、過去最高水準の技術展示会であったといえます。この世界最大級の展示会にアルチザも満を持して参画し、情報発信並びに情報収集を行いました。

  • 数字で見るMWC Barcelona 2024開催報告(出典:2024年3月9日受信のGSMA発行のニュースレターより転記)(詳細はプレスリリースも合わせてご参照願います)

アルチザネットワークス 出展概要

ブース出展

アルチザのブースは、昨年のデザインをベースにさらに洗練され、スタイリッシュに改良が施されました。 既存主力製品であるDuoSIM-5G、 eE Neo シリーズを筆頭に、新製品であるFH MONITOR、 Griffinを製品ラインナップへ加え、さらに充実した製品ポートフォリオを取り揃え、本イベントに臨みました。

開催期間中、来訪されたお客様からの反応は大変良好で、前年比1.5倍のお客様に足を運んでいただき、多くのお客様にアルチザ製品の強みをアピールできました。

DuoSIM-5Gは、O-RAN FHインターフェースから5G/LTE基地局に対し、負荷をかけることが可能なUE/O-RU シミュレーターで、国内外問わず多くのベンダー様やオペレーター様に対して導入実績があります。本製品の説明もさることながら、当社滝沢事業所(岩手県)で展開している本製品を用いたサービス事業、Lab as a Service(LaaS)やTest as a Service(TaaS)も紹介し、多くのお客様から関心が寄せられました。

eE Neo シリーズは、低電力、省スペースで100GbEまでのインターフェースに対応したパケットキャプチャー製品です。パケットを取りこぼすことなくキャプチャーできる本製品は、マルチベンダー化が進むRAN エコシステムのFronthaulにおけるデータキャプチャー装置として活用されています。

FH MONITORは、前述のeE Neoシリーズのパケットキャプチャー性能に加え、Fronthaulの問題解析の自動化に優れた製品です。本製品は2024年6月リリースを予定しています。

Griffinは、 Intel® high-end FPGA Agilex™ 7を搭載したPCI Express FPGA NICです。本製品は、電力効率に優れ、vRANにおけるPHY-High処理をオフロードしたり、マルチアクセスエッジコンピューティングや映像伝送等、ユースケースは多岐に渡り、お客様のニーズに応えます。

  • アルチザネットワークス ブース全景

O-RAN Virtual Exhibition

O-RAN ALLIANCE Virtual Exhibitionとは、バルセロナ、上海、ラスベガスの各地で開催されるMWCの開催時期にあわせ、O-RAN ALLIANCEがネット上に開設するバーチャル空間上で、O-RAN ALLIANCEメンバー各社が、それぞれのO-RANソリューションを紹介する展示企画です。

当社の本Virtual Exhibitionへの参加は、今回で4回目となります。今年は「Introducing FH MONITOR」と題するスライドベースの英語音声付き動画コンテンツを出展しました。同コンテンツ内においては、マルチベンダーによるO-RAN Fronthaul接続時におけるさまざまな課題とそれらに対する各種試験手法(Conformance / Interoperability / E2E Testing)の概要について触れ、O-RU製品評価時における課題、並びにFH MONITORの特徴・メリットについての解説を行いました。

また、O-RAN ALLIANCE Virtual Exhibitionに参加した企業に対しては、O-RAN ALLIANCE側からロゴラベル、ロゴスタンドなど各種マーケティング支援ツールが提供されました。当社ブースにおいてもこれらを活用し、アルチザはO-RAN ALLIANCEメンバー企業であり、自社製品へのO-RAN準拠対応並びに標準化活動への参加を通して、O-RAN ALLIANCEの活動に貢献している企業であることをアピールしました。

O-RAN ALLIANCEは、MWC会期中の2月28日に、MWC会場内の特設スペースにおいて“O-RAN Summit”を開催。同イベントでは、Alex Jinsung Choi氏(Chair of the Board of O-RAN ALLIANCE and SVP Group Technology, Deutsche Telekom) による基調講演に続き、各種パネルディスカッションが満席で立ち見が出るほどの盛況の中で開催されました。また、同講演会場の出入り口付近には、「ネットワーキング・エリア」が設けられ、O-RANメンバー企業の参加者同士が情報交換を行っていました。このエリアでは、80インチの大型ディスプレイが設置され、同エリアに集う多くのO-RAN関係者に対し、O-RAN ALLIANACEメンバー企業によるメッセージ・スライドがローテーションで表示されました。当社からはDuoSIM-5G及びFH MONITORをアピールしました。

  • O-RAN Virtual Exhibition参加企業に対し配布されたO-RANロゴをブースに配置
    製品及び標準化活動を通しO-RAN ALLIANCEに貢献
  • O-RAN ALLIANCE Summit会場内のネットワークング・エリア内に設置の80インチ大型ディスプレイに表示された当社のメッセージ・スライド

テーマ

今回のMWCでは、「Future First」をメインテーマとし、形成する下記六つのサブテーマに関連する技術についてのスピーチ、ディスカッション、技術展示などのさまざまなイベントが行われました。

トレンド

  • AI
    • AI技術は、間違いなくトップトレンドの一つでした。基地局ベンダーやテスト機器プロバイダーらはAIをモバイルネットワークの管理、最適化、障害解析、無線信号処理に適用したデモを披露していました。これらの技術は、人の手によって行われていた作業をAIによって効率化することで、工数の削減や品質の向上に役立てるものでした。
    • 大手移動体通信事業者、基地局ベンダー、テクノロジープロバイダーらはAI-RANアライアンスを設立しました。AIとRAN(Radio Access Network)を融合させるコンセプトで、AIは目的ではなく手段であることを再認識し、モバイルネットワークを効率化、進化させる道筋が見えたように思います。
  • NTN(Non-Terrestrial Network)
    • 2023年は、シミュレーターを用いたデモやコンセプトの展示のみでしたが、本年はNTNに対応した実端末による接続デモが複数展示されていました。
    • 衛星オペレーターと移動体通信事業者の協業も複数見られ、普及に向けて現実味を帯びてきたことを感じました。
  • Open RAN
    • 一社でRAN全体を提供できなくとも、RANを構成する要素、例えばサーバー、アクセラレーターカード、アンテナユニット、仮想化基盤ソフトウェア、RAN最適化ソフトウェアなど、各社の強みを活かした要素を部分的に提供するベンダーが多く見られました。
    • これにより、ハードウェアとソフトウェアの分離及び仮想化が進み、構成の柔軟性やオーケストレーション、インテリジェント化が加速しています。
    • Open RANエコシステムでは従来、システムインテグレーションの複雑化、性能要件の達成、セキュリティ担保など多くの課題が存在し、広く普及するには至っていませんでした。近年では、前述の標準化団体、O-RAN ALLIANCEの標準に準拠した要素をパッケージ化して展開するブランドなどが立ち上がったことで徐々に広がりを見せています。

所感

新型コロナウィルスによる中断期間を経て、アルチザは2023年に出展を再開しました。すでに述べた通り、本年のMWC Barcelona 2024は来場者数、出展社数ともに昨年度より大幅に増加しています。これは、MWCにおける最新技術を用いた製品やソリューションの展示、並びにFace to Faceによるお客様やパートナー企業とのミーティング及びカンファレンスが重要であることを世界中が再認識した結果といえます。アルチザもMWCへの出展を通じて、世界の移動体通信技術の発展・進化に少しでも貢献できたことに誇りを感じます。

今回のMWC におけるメインテーマである「Future First」、そして前述のサブテーマにあるように、移動体通信技術は、AIを始めとしたさまざまな技術を用いたかたちで、その進化を加速してゆきます。来年のMWC Barcelona 2025において、それらが新たな製品、サービスとして実現化され、さらに進化したテクノロジーが生まれることを期待しています。

アルチザでは、今後も、移動体通信技術やお客様動向に注目し、当社の先進的な製品、サービス、並びにビジネス情報をグローバルに発信してゆきます。