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創立30周年をむかえて

2020年12月27日、私たちアルチザネットワークスは設立30周年を迎えました。公衆デジタル通信の黎明期である1990年のスタートアップから、通信業界の急激な成長、ITバブル崩壊、リーマン・ショックなど、激動する業界の荒波にもまれながらも、アルチザが創立30周年を迎えることができたのは、ひとえにお客様、協力会社様、株主の皆様、外部から私を支えてくださった方々、そして何よりも苦楽をともにしてきた社員のおかげであること、この胸に今深く刻むと同時に、厚く御礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。

私たちが歩み始めた1990年は、まさにデジタル通信元年の年であったと言えます。フルデジタル技術を本格的に導入した公衆通信網ISDN(Integrated Services Digital Network)サービスが、NTTによって開始された年でした。通信業界において、これから始まるであろう大きな変化に胸を躍らせると同時に、それと同じかそれ以上の不安をかかえ、30歳になったばかりの私は数名の仲間とともに、アルチザネットワークス(旧名エイブルコミュニケーション)の設立を決断しました。何かに急き立てられるように準備を進め、年の瀬となった1990年12月27日、自分の手ですべてを書き終えた会社設立資料を提出するため、東京法務局立川出張所に赴きました。その日はとても寒い日で、その寒さが自分の不安を一層大きくしていたことを、今でもはっきりと思い出すことができます。まさに、私たちの戦いはその日から始まったわけですが、それは栄光とは大きくかけ離れた挫折に次ぐ挫折の日々でした。それらをすべてここで語りつくすことはできませんが、その日々について、ひとつ自分に誇れることがあるとするならば、「30年間戦い続けた」ということではないでしょうか。そして、その30年間は次のようなパラドックスで表現できそうに思えます。「長いようで、短かった」、あるいは、「変化の連続のようで、実は、何も変わっていない」と。そして、自分自身を同じように表現するならば、「大きくなったようで、30歳のときのまま」であると。

支えられた「天・地・人」が大きな原動力

30年間に起こった多くの出来事の中には、現在の私たちを語る上で大きな節目と呼べることがいくつかありました。最初それらは、いずれも自分の能力では不可能と思えるような巨大な目標ばかりでしたが、私たちは現実にそれらを成し遂げてきました。私たちの飽くなき思いによって、そして「天・地・人」、すなわち「天の時」「地の利」「人の和」が偶然にも重なり合うことによって、それらが瞬間的にスパークし、私たちに目標達成させる強力な原動力を与えてくれたのです。

2001年7月19日 日経産業新聞上場広告
2001年7月19日 日経産業新聞上場広告

その一つは、2001年の株式公開です。社業が、「情報通信インフラの品質を担保する」という社会的責任の大きい仕事であるにも関わらず、業績の浮き沈みの大きさに悩まされてきた私は、アルチザこそ社会の資金を使って経営すべき会社であると判断し、株式公開を目指すことにしました。株式公開を決意してから実現するまで、遭遇する幾多の困難の中、諦めそうになったこともありましたが、全社一丸となって、またステークホルダーの皆様のご支援によって、私たちはこれを成し遂げました。現在では、5000人を超える株主の方々に支えられ、アルチザは、東京証券取引所二部上場を維持させていただいております。

また、ワイヤレス技術への事業領域の遷移に成功したこともアルチザにとって大きな出来事であったと言えます。ワイヤーライン上のプロトコル技術で創業し、ワイヤーライン製品のみを20年近く開発してきたアルチザにとって、これは文字通り無謀とも言える挑戦でした。全く新しい技術や用語に戸惑いながら、不慣れな作業も試行錯誤を繰り返し、プロジェクトメンバーが一丸となって、不眠不休でこれをやり遂げました。現在当社の主力製品となる無線基地局のテスト製品の始まりは、このプロジェクトにあったと言えます。その後、約十年で当社は、ワイヤーラインテクノロジーの会社から、全く違う技術を持つ会社、すなわちワイヤレステクノロジーの会社に生まれ変わっています。今では、世界のTier-1基地局ベンダーが、アルチザの製品を必要とし日夜稼働し続けています。

企業の文化と仕組みは経営の両輪となり、成長をドライブ

アルチザ フィロソフィ
アルチザ フィロソフィ

最後の出来事は、企業文化とマネジメントシステムの確立と醸成でした。私は、アルチザが「長く続く会社」そして「若い社員が夢を持って働ける未来に向けて成長発展する会社」にするために「何が必要か」を考え抜き、その答えを見出しました。そして、2009年には当社の行動規範となるアルチザフィロソフィを制定し、手帳を作成・配布し、全社員による朝礼での唱和を開始しました。現在もアルチザの社員たちは、毎日これを続けています。2014年には、「アメーバ経営」の本格運用を開始しただけでなく、その後も、改善に改善を重ね続け、現在もそのレベルを少しずつ向上させながら社員の経営力向上に貢献しています。会社の「文化と仕組み」にあたる、「アルチザフィロソフィ」と「アメーバ経営」はアルチザの経営の両輪となり、現在も力強く成長をドライブしています。

2016年より取り組み始めた5G製品を2019年に初期バージョンをリリースし、5G製品開発販売に一定の区切りをつけ、創立30年を目前にした昨年2019年、私は会長に退くことを選択しました。創業者の仕事とは、後を引き継ぐ社員たちに「何が正しくて、何が間違っているのか」を示してくれる「企業文化」と、「会社を動かし続ける仕組み」となる「マネジメントシステム」を確立することです。そのいずれもやり遂げたと言える今、「満を持して」、陣頭指揮を後進に譲ることにしました。

第30期初より新社長が指揮を執り、おかげさまをもちまして、第30期は最高売上を記録して終わることができました。続く第31期の業績も5Gの強力なモーメンタムを維持しながら順調に推移しております。第31期初には、創業以来初めて中期経営計画を公開し、新社長の指揮のもと、全社でこの目標達成に一丸となって邁進しております。本中期経営計画では、安定的な業績向上を目指すだけでなく、それを海外での売上伸長によって実現することを一つの方針としています。全世界で5Gの追い風が大きく吹く中、新しいアルチザはこれを必ず達成することでしょう。

みなさん、新しいアルチザに是非ともご期待ください。

2020年12月1日
株式会社アルチザ ネットワークス
創業者 代表取締役会長 CEO

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